さて、9月末に開催された第51回日本薬剤師会学術大会では、これからの薬剤師のあり方についての講演で多くの指摘がなされました。これまでは健康の維持と増進への関わりが中心だったのが、人生100年時代に向かっては予防への関わり、患者さん一人一人に応じた理解と対応、処方箋のみならずOTCやサプリメント等の活用なども必要になります。
今年も残り2ヶ月。今月も『モノでなく、お客さん目線で考える!』という視点から3つシェアしたいと思います。
1つめは、先月の弊社研修会での美容課長によるスキンケア勉強会からの抜粋。
- 今年は酷暑だったためお肌のケア不足(水分不足)の人が多く、秋を迎えるにあたって「肌がカサカサな人(敏感肌に近づいている)」「つっぱった人(=肌に疲れが出ている)」「荒れている人」が非常に多い。
- 基本的にスキンケアの基本である化粧水の使用量が圧倒的に足りない(必要量の1/4しか使っていない人が多い)・・・100円玉ぐらいの量を手の平にとって使うと、しっかり角質層の下まで浸透してお肌が柔らかくなり、その後に使う美容液やクリームも奥まで浸透しやすくなる。
- 特にお肌の弱い人は、冬場の水分不足のカサカサ肌にいきなり油分(美容液やクリームの成分)を乗せると刺激を受けたり、赤く腫れる恐れもある。
- 夜の洗顔はやさしくゴシゴシこすらずに。朝は石鹸の使い過ぎで皮脂が流されてしまうのでぬるま湯か水のみで十分。
- 美容液をお肌になじませ、その上からクリームを入れ込み、目尻やほうれい線などのシワの気になるところは二度づけ。ペタペタするぐらいの量をつけて、翌朝少し残っているぐらいが適量です(特に目元は)。
2つめは、100歳以上の高齢者(百寿者)900名の調査研究を行っている慶応義塾大学医学部の新井先生より。
- 百寿者の97%は何らかの病気をもっている。その一方で、中年期の体格・食事が適切だったため肥満による糖尿病や動脈硬化といった循環器系疾患が少なく、日常生活での活動度や認知機能が高い。
- 後期高齢期以降では、フレイルと認知症の予防が健康長寿達成のカギ。
- そのためにも、ライフステージに合った運動、頭を使う趣味や活動・読書、バランスの良い食事、そして地域参加をしていくこと。またそうした健康長寿社会を作っていくことが大切。
- こうしたことは漠然とは理解されているが、現実的には加齢と共に体力・気力が落ち、身体の不調・病気が加わり、友人・配偶者との死別で孤立が進んだりしている。
3つめは、「来店頻度・接触頻度を上げる!」
- 2017年度のコンビニエンスストア調査によると、来店客に占める60代以上の比率は6年前の11%→19%に高まり、以前はコンビニの主要客層だった20代以下は23%→14%に低下した。ここにも少子高齢社会による客層の変化が。
- そんな中でコンビニは中高年層が気にする健康志向の「塩分カット」「低糖質」商品の投入・拡大をしている。
- これからの「ゆるやかな人口減少社会」においては、目の前のお客さまに満足いただき、1回だけでなく、繰り返し利用していただく【来店頻度の向上】【接触頻度の向上】は必須になる。
- 処方箋以外の健康や日々の生活習慣の相談ができる薬局
- 調剤待ちの時間も有益で楽しい雰囲気の薬局
- 特定のクリニック以外の患者さん・地域住民の方にも利用しやすい薬局、入りやすい薬局
- 定期的に健康イベントを開催してその地域住民にも馴染んだ薬局
代表取締役 天野 晃治